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AIの実務

AIエージェントの検索権限|見られる資料を利用者ごとに分ける

社内資料を検索するAIに、全社員共通の権限を渡していませんか。Google Cloudの新しい企業向け検索の発表を手がかりに、利用者と資料の権限照合、異動時の更新、履歴・共有リンクの確認方法を整理します。

利用者ごとに分かれた青い資料庫と、閲覧できる書類を探す虫眼鏡の立体イメージ

社内のAIエージェントに質問すれば、必要な資料をすぐ見つけられる。それでも、本来は閲覧できない資料の内容まで回答されるなら、安心して業務には使えません。

検索の導入では、回答の正しさと同時に「誰に、どの資料を見せてよいか」を決める必要があります。資料の保存場所が社内であっても、利用者ごとの閲覧範囲は別に管理する設計が重要です。

10月20日の企業向け検索の発表から考える

Google Cloudは2026年10月20日、外部ネットワークから分離したGoogle Distributed Cloud環境で動く、Geminiの企業向け検索機能を発表しました。発表時点ではプレビューです。公式記事では、利用者のチャットとアップロードしたファイルを利用者ごとに非公開とし、組織の認証基盤と連携する構成を説明しています。Google Cloudの発表

この発表は、すべての企業が同じ専用環境を導入すべきという意味ではありません。自社のAI検索を考える際にも、データの置き場所と、閲覧できる人の範囲を分けて確認するきっかけになります。

別の製品資料であるAgent Searchのアクセス制御ガイドも、検索する利用者を認証基盤で識別し、閲覧権限のある文書を結果に返す仕組みを説明しています。こちらも参照時点ではプレビューとして案内されています。両者を同じ製品や設定として扱わず、導入候補ごとに対応するデータソースと制約を確認してください。Agent Searchの公式資料

以下は、こうした考え方を業務に置き換えた設計案です。IvyLeapの導入実績や、特定製品の標準機能を示すものではありません。

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ログインできることと、資料を読めることを分ける

AIの画面にログインできる人全員へ、接続先の全資料を見せる必要はありません。例えば、営業担当は商品説明を読めても、人事の評価資料は読めないという区分が考えられます。

導入前に、資料の管理者と次の四つを整理します。

  • 利用者:誰が質問しているか。画面に入力した氏名ではなく、ログイン情報を基準にする。
  • 対象資料:どの文書やフォルダーを検索対象にするか。
  • 閲覧条件:部署、案件の担当、個別の共有設定など、何を満たせば読めるか。
  • 更新担当:異動や案件終了に伴う権限変更を誰が反映するか。

「営業部なら全部読める」といった大きな分類だけでは、案件ごとの制限を表現できない場合があります。最初から全社の資料をまとめるより、管理者と共有範囲が明確な資料群から始める方が、確認対象を絞れます。

回答を作る前に、検索結果を絞る

避けたいのは、AIへすべての資料を渡した後で「見せてはいけない内容は回答しないで」と指示するだけの構成です。制限対象の内容が、要約や例示に混ざる余地を残してしまいます。

設計案としては、検索要求に確認済みの利用者情報を付け、検索システム側で権限を照合し、許可された内容だけを回答生成へ渡します。AI自身に「この人は読めるはず」と推測させないことがポイントです。

権限の照合に失敗した場合も、全件検索へ切り替えて処理を続けるのではなく、結果を保留して再試行や担当窓口を案内します。画面には「確認できませんでした」と伝え、権限のない資料のタイトルや抜粋を出さないようにします。

AIコールセンターでは、担当者と顧客の範囲も違う

複数社の問い合わせを受ける窓口を仮想例に考えます。同じ担当者が複数社のマニュアルを閲覧できても、A社の電話対応中にB社専用の条件を案内してよいわけではありません。

この場合は、担当者の閲覧権限に加えて、現在対応している委託元や案件を検索条件に含めます。会話の途中で別案件へ切り替えたら、前の案件の検索結果をそのまま次の回答に使わない設計にします。

さらに、担当者向けの内部資料と、顧客へ案内できる内容を分けます。担当者が読めるという理由だけで、内部向けの判断メモをAIコールで読み上げないようにするためです。顧客向け回答の生成には公開可能な情報を渡し、内部の対応方針は担当者用の画面に分ける方法が考えられます。

異動・共有解除の後に、古い結果が残らないか

資料の権限を変更しても、検索用に作った複製や一時保存した結果が、同じタイミングで変わるとは限りません。導入候補には、元の権限が変更されてから検索へ反映されるまでの経路と所要時間を確認しましょう。

例えば、案件を離れた担当者について、検索だけでなく次の場所も確認します。

  • 過去の会話に残った回答や引用。
  • 保存した検索結果と、一時保存された要約。
  • 他の人へ渡せる会話の共有リンク。
  • ダウンロード済みの資料や、外部へ送った要約。

共有リンクを開いた人にも閲覧権限を確認するなど、検索以外の入口もそろえます。ただし、すでに読んだ情報や保存済みのファイルまで、権限解除で自動的に回収できるとは限りません。出力・共有を許可する範囲も、導入時に決めておく必要があります。

導入前に試したい六つの場面

最初は、実際の機密情報ではなく、内容と閲覧範囲を決めた検証用資料で確かめます。各テストでは、回答文だけでなく、引用・抜粋・リンク先も確認してください。

  1. 閲覧できる社員とできない社員が、同じ質問をする。
  2. 閲覧権限のない文書名を、質問へ直接入力する。
  3. 部署を異動した利用者が、新しい会話と過去の会話を開く。
  4. 資料の共有を解除した直後に、もう一度検索する。
  5. 別の部署や案件の利用者へ、会話の共有リンクを渡す。
  6. 認証や権限照合に失敗した状態で検索する。

合格条件は「権限のない本文を表示しない」だけで終わらせず、タイトルの露出を許すか、過去の会話をどう扱うか、変更が反映されるまでの運用を含めて決めます。一方で、正当に閲覧できる人が必要な資料を見つけられることも確認します。

自社の資料と担当者から、検索範囲を決める

まず一つの業務を選び、利用者・資料・閲覧条件・更新担当を紙一枚にまとめてみてください。その整理をもとに、検索から回答、共有まで同じ制限を保てる構成を検討します。

業務に合う接続方法や検索範囲の整理は、AIエージェント構築支援でご相談いただけます。電話窓口への組み込みはAIコール導入支援、接続時の認証情報の扱いはAIエージェントの認証情報管理もあわせてご覧ください。

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