AIエージェントの管理台帳|社内のAIを棚卸しする7項目と廃止手順
社内でAIエージェントが増えたら、誰が管理し、何に接続しているかを一覧に。最新の企業向けAI発表を踏まえ、台帳の7項目、実際の設定との照合、使わなくなったAIを整理する手順を解説します。

部署ごとにAIエージェントを作り始めると、「どれが本番で動いているのか」「担当者が異動した後も接続が残っていないか」が分かりにくくなります。便利なAIを増やすこととあわせて、稼働中のAIを一覧で説明できる状態を作りましょう。
この記事では、個々のAIの回答品質や障害監視ではなく、社内にあるAIエージェントを把握し、継続・休止・廃止を判断するための台帳を扱います。最初は管理表でも構いません。実際の設定と照合でき、更新する人が決まっていることが出発点です。
最新発表から考える、導入後の管理
HCLTechは2026年10月12日、AnthropicとのGlobal Premier Partnershipを発表しました。企業へのAgentic AI導入に向け、安全性・サイバーセキュリティ・ガバナンスを重視し、専任組織や人材育成を進める方針を示しています。10月12日は発表日であり、記載された取り組みがすべて完了した日ではありません。HCLTechの公式発表
Google Cloudも10月8日のGemini at Work 2026の発表で、エージェントの識別、権限、監査記録などの管理を説明しました。Google Cloudの公式発表
これらを踏まえたIvyLeapの提案は、導入するAIの数と同時に、管理対象と責任者を明確にすることです。以下の台帳や手順は当社の実務提案であり、両社製品の標準機能や必須設定を示すものではありません。
台帳には、まず7項目を記録する
名称だけの一覧では、似た名前の試作品と本番用の区別がつきません。管理画面や設定の所在にたどり着ける情報を添えます。
- 識別情報と所在:社内の管理ID、名称、利用サービス、管理画面、検証用・本番用の区分。
- 業務と利用者:何の仕事を任せ、どの部署が使い、誰に結果を渡すか。
- 責任者と代行者:業務の継続を判断する人、設定を変更する人、不在時の窓口。
- 接続先と操作範囲:参照する資料やシステム、読み取り・更新・送信の区別、利用するアカウントの識別子。
- 起動条件と状態:手動・定時・受信時などの起動条件、本番稼働・検証・休止・廃止の区分。
- 記録と確認方法:実行履歴、処理結果、設定履歴を確認する場所。保存ルールは別の管理文書にリンクします。
- 見直し日と判断:最終確認日、次回確認日、継続する理由、未解決事項。
台帳にはパスワードやAPIキーそのものを書かず、管理場所と権限を持つ担当者を記します。また、顧客の通話内容や個人情報を台帳へ複製する必要はありません。業務の説明と記録の所在を残せば、一覧が過度に機微な情報を抱えずに済みます。
「ツール一つにつき一行」とは限らない
同じサービス内に営業向けと採用向けのAIがあり、接続先や責任者が違うなら、別の管理対象として扱います。逆に、一つの業務の中で一時的に作られる補助エージェントを、すべて手入力する運用は続きにくくなります。
その場合は、継続的に動く親の業務を台帳で管理し、一時的な補助エージェントは実行履歴から親の管理IDにひも付けて追えるようにする方法があります。管理単位は「別々に停止・変更・責任確認する必要があるか」で決めると整理しやすくなります。
設定を複製したときは、名称を変えるだけで終えないようにします。複製元のアカウントや起動設定を引き継いでいないか確認し、独立して動くなら新しい管理IDを付けます。
AIコールセンターの台帳例
次は仮想の受付業務です。実際の導入実績ではありません。
- 管理ID:CALL-RECEPTION-01。用途は代表電話の用件受付。
- 業務責任者:受付部門。設定担当者:情報システム部門。双方に代行者を置く。
- 接続先:受付FAQは参照のみ。問い合わせ管理システムは新規受付の登録のみ。
- 起動条件:対象番号への着信。発信や契約変更は対象外。
- 状態:本番稼働。実行履歴と登録結果を管理画面で確認する。
- 見直し:受付範囲や電話番号の変更時、担当者の異動時、定期の棚卸し時。
ここで電話受付を人へ戻す場合、AIの画面を閉じるだけでは十分とは限りません。電話番号の転送設定、受信イベント、後続処理まで台帳から確認できると、切り替え漏れを減らせます。実際の停止方法は利用サービスの仕様に従って決めます。
棚卸しでは、自己申告と実際の設定を照合する
台帳が埋まっていても、実態と一致するとは限りません。利用部署への確認に加え、管理者が閲覧できるサービスの一覧、起動スケジュール、接続設定、実行履歴と照合します。
確認結果は、次のように処理します。
- 台帳にないAIが動いている:所有者と用途を確認し、登録と利用範囲の判断を行う。
- 台帳は稼働中だが使われていない:季節業務や待機用途かを確認し、継続・休止を判断する。
- 担当者が不在・異動済み:後任と代行者を決め、必要な管理アクセスを社内手順で引き継ぐ。
- 記載より広い接続や操作がある:実態を確認し、必要な範囲へ設定を見直す。
利用が少ないことだけで自動的に廃止せず、業務の必要性を責任者へ確認します。棚卸しの頻度も一律に決めるより、外部送信やデータ更新の有無、変更頻度に合わせて設定しましょう。
廃止は「削除した」で終わらせない
使わなくなったAIは、依存する業務を確認してから順に整理します。提案する確認順序は、①新規受付・定期起動を止める、②処理中の案件と後続処理を確認する、③不要になった接続権限を外す、④保存ルールに沿って記録や設定を扱う、⑤廃止日と確認者を台帳に残す、です。
共有アカウントや共通の接続を使っている場合は、他の業務への影響を先に確認します。AI本体を削除しても、別サービスに定期処理や通知先が残る可能性があります。最後に起動元と接続先の両方で、意図した状態になったかを確認してください。
台帳は文書を増やすことが目的ではありません。「このAIを続ける理由と、止めると影響する業務を担当者が説明できるか」を、次の棚卸しの確認点にしてみてください。
日々の異常対応はAIエージェントの運用監視、接続情報の扱いは認証情報を分離する設計も参考になります。IvyLeapのAIエージェント構築・AIコール関連サービスへのご相談は、現在利用中のAIと管理上の課題を添えてお問い合わせください。
※公式発表は2026年10月13日に確認。機能や提供条件は変更される場合があります。