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AIの実務

AIエージェントで問い合わせを振り分けるには?分類・優先度・担当者の決め方

問い合わせメールやAIコールの受付内容を担当部署へ振り分ける際の設計を解説。BarclaysとAnthropicの公式発表を手がかりに、分類ルール、情報不足、複数の用件、担当不明への対応を整理します。

白とブルーのAI処理装置が封筒や会話のトークンを三つの担当窓口へ振り分ける立体イメージ

問い合わせが増えると、回答を作る前の「これは誰が担当するのか」という確認にも時間がかかります。AIエージェントは、この受付後の整理を支援する選択肢です。ただし、件名を読んで部署名を付けるだけでは、担当違いや対応漏れを防ぎきれません。

最初に決めたいのは、問い合わせの種類、対応を急ぐ理由、引き受ける担当者を別々に管理することです。この記事では、問い合わせメールやAIコールの受付内容を、次の担当者が動ける状態へ整える方法を紹介します。

10月1日の発表から見える、回答前の業務へのAI活用

Anthropicは2026年10月1日、Barclaysとの協業拡大を発表しました。記事では、同行のGlobal Markets部門で、受信メールの分類、情報の補足、処理経路の判断にClaudeを活用していると説明しています。担当者が必要な情報を把握し、次の処理へ進めるための使い方です。Anthropic公式発表

これは10月1日に公表された活用状況であり、メール振り分け機能が同日から提供されたという発表ではありません。また、同行の取り組みを、そのまま自社の導入効果として見積もることはできません。

以下は、この事例をきっかけにしたIvyLeapの設計提案です。特定製品の標準機能やBarclaysの実際の運用手順を再現するものではありません。

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「種類」「優先度」「担当」を一つのラベルにしない

たとえば「請求書の宛名を直したい。あわせてサービスが使えない」という問い合わせには、請求と障害の二つの用件があります。「請求関連」とだけ分類すると、利用できない問題が後回しになるおそれがあります。

受付記録は、次のように分けると確認しやすくなります。

  • 用件の種類:請求書の変更と、サービスを利用できないという申告。複数選べるようにする。
  • 優先度を判断する情報:使えない機能、発生時刻、業務への影響。本文にない項目は未確認とする。
  • 担当先の候補:請求窓口とサポート窓口。顧客への連絡をまとめる主担当も決める。
  • 処理状態:分類済み、担当確認待ち、担当確定、対応中、完了を区別する。

分類が終わっただけで「対応済み」にしないことが大切です。実際に担当先が引き受けたことを確認して、受付の次の段階へ進めます。

小さな分類表に、判断の境界を書く

分類項目は、部署の数に合わせて増やすより、担当者が実際に次の行動を決められる粒度から始めます。「その他」に集まった内容は定期的に見直しますが、最初からすべてを自動分類する必要はありません。

分類表には、名称だけでなく「含める相談」「別の扱いにする相談」「不足しやすい情報」を書きます。たとえば、請求窓口のルール案は次のようになります。

  • 含める相談:請求書の送付先変更、再発行の依頼。
  • 別途確認する相談:請求額への異議や契約条件の変更。定型的な再発行と同じ処理へ流さない。
  • 必要な情報:対象の請求書を特定できる情報。分からない場合は確認待ちとして残す。
  • 送付先:現在その業務を受け持つ窓口。組織変更時に更新する責任者も決める。

AIには分類理由と、根拠にした問い合わせの一部分を返させると、人が修正しやすくなります。ただし、理由がもっともらしいことだけを正しさの証拠にはしません。原文と社内ルールを照らし合わせて判断します。

情報不足を、推測で埋めない

「昨日の件で連絡しました」とだけ書かれたメールから、顧客名や契約を推測して確定させるのは避けたい運用です。参照が認められた履歴から候補を探せても、同じ問い合わせだと判断できなければ未確定として扱います。

ここでは、AIが出す結果を三つに分けます。

  1. 分類候補:現時点で考えられる用件。
  2. 不足情報:担当先や処理を決めるために足りない項目。
  3. 次の行動:人が履歴を確認する、必要な点を質問する、指定の確認窓口へ回す。

不足情報を補うための質問も、必要な範囲へ絞ります。一般的な製品の使い方への問い合わせに、契約番号や住所まで一律に求めると、顧客の負担が増えます。

AIコールの受付では、聞き取れなかった情報と、顧客が提供しなかった情報も分けて記録すると、後続の確認がしやすくなります。氏名や番号の確定については、AIコールの聞き間違い対策で詳しく解説しています。

優先度は、強い言葉だけで決めない

「至急」という言葉は参考になりますが、それだけで対応順を決めると、短い文章で重要な障害を知らせた問い合わせを見落とす可能性があります。

優先度は、自社で合意した条件と結びつけます。たとえば「サービス全体が使えないという申告」「処理期限が明示されている依頼」「通常の使い方の質問」では、確認すべき内容と対応先が異なります。これは設計例であり、どの条件を優先するかは事業ごとに決めます。

一方、影響範囲や期限が不明な場合は、通常扱いへ黙って落とすのではなく、確認が必要な記録として残します。AIの分類スコアを使う場合も、その数値を正解確率と決めつけず、実際の問い合わせで誤り方を確かめてから運用条件を定めます。

担当不明と複数用件の受け皿を用意する

振り分け先が存在しない、部署間で見解が違う、同じ問い合わせが別の窓口にも届いている。こうしたケースでは、分類の精度だけを改善しても受付が止まります。

実務では、次のルールを先に用意しておくと運用しやすくなります。

  • 担当を確定できない案件を引き受ける確認窓口を設ける。
  • 複数の用件は子タスクに分けても、顧客への返信をまとめる主担当を一人決める。
  • 転送時は受付番号、原文への参照、分類理由、未確認事項を引き継ぐ。
  • 担当先から差し戻された場合の再判断担当と、放置を検知する条件を決める。
  • 重複の疑いがある問い合わせは関連付けるが、確認せず削除・完了にしない。

この段階の目的は、案件がどこにあり、誰が次に判断するかを見える状態にすることです。転送メールを送った事実だけで受付完了にしない運用を目指します。

導入前は「誤って回した後の手間」まで確認する

テストには、典型的な問い合わせに加え、複数用件、情報不足、曖昧な件名、担当範囲の境界にある相談を入れます。現場担当者同士でも判断が割れる例は、AIの調整より先に運用ルールを確認します。

評価では、正しい分類の割合に加えて、次の項目を別々に記録します。

  • 誤った窓口へ送られ、再振り分けが必要になった件数。
  • 優先して確認すべき問い合わせを通常扱いにした件数。
  • 人の確認へ回した案件のうち、判断に必要な情報がそろっていた件数。
  • 受付から担当確定までの時間と、修正・確認に人が使った時間。

AIを入れる前の同じ業務と比較し、分類作業が減っても差し戻しが増えていないかを見ます。まずはAIが候補を示し、人が確定する範囲から始め、実際の結果に応じて自動振り分けの対象を広げる方法があります。

IvyLeapでは、AIエージェント構築支援やAIコール導入支援のご相談で、受付後に誰がどの情報を受け取るかも含めて整理します。問い合わせ対応の自動化を検討するときは、回答文の作成とあわせて、担当確定までの流れを見直してみてください。

出典

本記事の分類表・受付記録・確認項目はIvyLeapによる設計例です。特定の導入効果や処理精度を保証するものではありません。

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